建売住宅(新築戸建て)購入ガイド|物件選びから契約まで、失敗を防ぐ7つのポイントを解説
- ONE FINITAS株式会社
- 9月17日
- 読了時間: 22分

マイホーム購入を検討し始めたものの、建売住宅と注文住宅のどちらを選ぶべきか迷っていませんか。特に初めての住宅購入となると、何から手をつければよいのか不安に感じる方も多いでしょう。建売住宅は完成した状態を確認してから購入できるため、住み始めるまでの期間が短く、価格も明確というメリットがあります。しかし一方で、間取りや設備の自由度が低いというデメリットも存在するのが実情です。本記事では、建売住宅の購入を成功させるために必要な知識を体系的にまとめました。物件選びから契約、引き渡しまでの流れを詳しく解説し、失敗を避けるための具体的なチェックポイントをお伝えします。これから建売住宅の購入を検討される方が、自信を持って理想の住まいを見つけられるようサポートします。
建売住宅とは?注文住宅との違いとメリット・デメリット
住宅購入を検討する際、まず理解しておきたいのが建売住宅の基本的な仕組みです。建売住宅と注文住宅の違いを正しく把握することで、自分たちのライフスタイルに合った選択ができるようになります。
建売住宅(分譲住宅)の基本的な特徴
建売住宅とは、不動産会社やハウスメーカーが土地を仕入れ、住宅を建築してから販売する物件のことを指します。分譲住宅とも呼ばれ、完成済みまたは建築中の状態で販売されることが一般的です。購入者は実際の建物を見学してから購入を決められるため、住み始めた後のイメージがつきやすいという特徴があります。
建売住宅の多くは、同じエリアに複数棟まとめて建築される分譲地として開発されます。統一感のある街並みが形成され、新しいコミュニティが生まれやすい環境となることが多いでしょう。また、電気やガス、水道などのインフラも整備済みで、すぐに生活を始められる点も大きな魅力といえます。
建売vs注文住宅|価格・工期・自由度を徹底比較
建売住宅と注文住宅を比較する際、最も重要な3つの要素が価格、工期、そして自由度です。価格面では、建売住宅が注文住宅よりも2〜3割程度安くなることが一般的とされています。これは、同じ仕様の住宅を複数棟建築することで、材料の大量仕入れや工事の効率化によるコスト削減が可能になるためです。
工期については、建売住宅が圧倒的に有利となります。完成済み物件であれば、契約から1〜2ヶ月程度で入居可能です。一方、注文住宅は土地探しから始めると1年以上かかることも珍しくありません。お子様の入学時期に合わせて引っ越したいなど、明確な期限がある場合は建売住宅が適しているでしょう。
自由度の面では注文住宅に軍配が上がりますが、最近の建売住宅はバリエーションが豊富になってきています。複数の間取りプランから選べたり、壁紙や設備の一部をカスタマイズできる物件も増えてきました。完全な自由設計とはいきませんが、ある程度の個性を出すことは可能になってきているのが現状です。
建売住宅が向いている人・向いていない人の特徴
建売住宅の購入に向いているのは、まず予算を明確に設定したい方です。総額が最初から明示されているため、資金計画が立てやすく、予算オーバーの心配がありません。また、仕事や子育てで忙しく、住宅の打ち合わせに多くの時間を割けない方にも適しています。
早期の入居を希望される方にとっても建売住宅は最適な選択肢となります。転勤や子どもの進学など、引っ越しの期限が決まっている場合は特に有効でしょう。実物を見てから購入を決めたいという慎重派の方にも、建売住宅なら安心して検討できるはずです。
一方で、建売住宅が向いていないのは、住まいに強いこだわりを持つ方です。特殊な間取りや設備、デザインを求める場合は注文住宅を選ぶべきでしょう。また、建築過程を自分の目で確認したいという方や、土地から自由に選びたいという方にも建売住宅は不向きかもしれません。
建売住宅の相場と予算の考え方
建売住宅の購入において、予算設定は最も重要な検討事項の一つです。物件価格だけでなく、諸費用や将来的な維持費まで含めた総合的な資金計画を立てることが、無理のない住宅購入につながります。
エリア別|建売住宅の価格相場(首都圏・関西・地方都市)
建売住宅の価格は、エリアによって大きく異なるのが実情です。首都圏では、東京23区内で5000万円〜8000万円、東京都下や神奈川県、埼玉県、千葉県の主要エリアで3500万円〜5000万円が相場となっています。駅からの距離や周辺環境によっても価格は変動しますが、都心へのアクセスが良好なエリアほど高額になる傾向があります。
関西圏では、大阪市内で3500万円〜5000万円、京都市や神戸市で3000万円〜4500万円程度が中心価格帯です。首都圏と比較すると若干価格は抑えられていますが、人気の高いエリアでは首都圏並みの価格となることもあります。奈良県や滋賀県など周辺エリアでは、2500万円〜3500万円で購入できる物件も多く見つかるでしょう。
地方都市では、政令指定都市でも2500万円〜3500万円が主流となっています。札幌市、仙台市、広島市、福岡市などの中心部でも、首都圏の半額程度で購入できることが多いです。さらに郊外や地方都市では、2000万円前後で十分な広さと設備を備えた物件が見つかることも珍しくありません。
諸費用を含めた総額予算の計算方法
建売住宅の購入には、物件価格以外にも様々な諸費用が必要となります。一般的に諸費用は物件価格の5〜10%程度といわれており、3000万円の物件なら150万円〜300万円を見込んでおく必要があります。主な諸費用には、仲介手数料、登記費用、住宅ローン関連費用、火災保険料などが含まれます。
仲介手数料は、物件価格の3%+6万円に消費税を加えた金額が上限となっています。3000万円の物件であれば約105万円となり、諸費用の中でも大きな割合を占めます。ただし、売主から直接購入する場合は仲介手数料が不要となるため、この点も物件選びの際に考慮すべきポイントです。
引っ越し費用や新居で必要となる家具家電の購入費も忘れてはいけません。カーテンや照明器具、エアコンなどは物件に含まれていないことが多く、別途50万円〜100万円程度の予算を確保しておくことをおすすめします。これらすべてを合計した金額が、実際に必要となる総予算となります。
住宅ローンの借入可能額と返済計画のシミュレーション
住宅ローンの借入可能額は、年収の5〜7倍程度が目安とされています。年収500万円の方なら2500万円〜3500万円、年収700万円なら3500万円〜4900万円程度が借入可能額の目安となるでしょう。ただし、借入可能額と無理なく返済できる金額は異なることに注意が必要です。
返済計画を立てる際は、月々の返済額が手取り収入の25%以内に収まるよう設定することが理想的です。年収500万円(手取り約400万円)の場合、月々の返済額は8万円程度が適正となります。この金額から逆算すると、借入額は2800万円程度が無理のない範囲といえるでしょう。
将来的な収入の変化や教育費の増加なども考慮に入れる必要があります。共働き世帯の場合、片方の収入が減少しても返済を続けられる計画を立てることが大切です。また、定年退職までに完済できるよう、借入期間も慎重に検討すべきでしょう。
フラット35と変動金利の選び方
住宅ローンの金利タイプ選びは、返済総額に大きく影響する重要な決定事項です。フラット35は全期間固定金利のため、将来の金利上昇リスクを回避でき、返済計画が立てやすいというメリットがあります。現在の金利水準は1.8〜2.2%程度で、35年間この金利が変わらないため安心感があります。
変動金利は現在0.3〜0.5%程度と非常に低い水準にあり、当面の返済額を抑えたい方に適しています。ただし、将来的に金利が上昇するリスクがあるため、金利上昇時のシミュレーションも行っておく必要があるでしょう。一般的に、借入額が少ない場合や繰り上げ返済を積極的に行える場合は変動金利が有利とされています。
頭金の目安と自己資金の準備
頭金は物件価格の10〜20%を用意することが理想的とされています。3000万円の物件なら300万円〜600万円となりますが、最近では頭金なしのフルローンも可能になってきました。ただし、頭金が多いほど借入額が減り、月々の返済負担が軽くなることは確かです。
自己資金の準備では、頭金以外に諸費用分と生活予備費も確保しておく必要があります。諸費用として物件価格の10%、さらに万が一に備えて生活費の3〜6ヶ月分を手元に残しておくことが推奨されています。無理に頭金を増やすよりも、ある程度の余裕を持った資金計画を立てることが重要といえるでしょう。
失敗しない建売物件の探し方・選び方
理想の建売住宅を見つけるためには、効率的な情報収集と的確な判断基準が欠かせません。物件探しから選定まで、段階的にポイントを押さえていくことで、後悔のない住宅購入が実現できます。
優良物件を見つける5つの情報収集方法
建売住宅の情報収集には、複数のルートを活用することが成功の鍵となります。まず最も手軽なのがインターネットの不動産ポータルサイトです。SUUMO、HOME'S、athomeなどの大手サイトでは、エリアや価格、間取りなどの条件で絞り込み検索ができ、効率的に物件を探せます。
次に有効なのが、地元の不動産会社への直接訪問です。ネットに掲載される前の新着物件情報を入手できることがあり、人気物件をいち早くチェックできる可能性があります。また、地域の特性や将来の開発計画など、ネットでは得られない生の情報も聞けるでしょう。
ハウスメーカーの住宅展示場も重要な情報源となります。実際の建物を体感できるだけでなく、そのメーカーが手がける建売住宅の情報も入手できます。営業担当者から直接説明を受けることで、建物の特徴や性能について詳しく理解できるはずです。
不動産ポータルサイトの効果的な使い方
不動産ポータルサイトを活用する際は、まず希望条件を明確にしておくことが大切です。エリア、価格帯、間取り、駅からの距離など、譲れない条件と妥協できる条件を整理しましょう。検索条件を細かく設定しすぎると物件が見つからないこともあるため、段階的に条件を調整していく方法が効果的です。
新着物件の通知機能を活用することも重要なポイントとなります。希望条件に合う物件が登録されたら即座にメールで通知を受け取れるよう設定しておけば、良い物件を見逃すリスクが減ります。人気エリアの物件は掲載から数日で売れてしまうこともあるため、スピーディーな対応が求められます。
ハウスメーカー・工務店の直接問い合わせのメリット
ハウスメーカーや工務店に直接問い合わせることで、仲介手数料が不要になる場合があります。売主直売の物件であれば、3000万円の物件で約100万円の節約になるため、大きなメリットといえるでしょう。また、建物の詳細な仕様や性能について、専門的な説明を受けられる点も魅力です。
アフターサービスの内容や保証期間についても、直接確認できるため安心感があります。建築中の物件であれば、完成前の段階で契約することで、一部の仕様変更に対応してもらえる可能性もあるでしょう。メーカーとの直接取引により、購入後のメンテナンスもスムーズに進められます。
立地選びの重要チェックポイント
立地は後から変更できない要素であるため、慎重な検討が必要です。まず確認すべきは、最寄り駅からの距離と実際の所要時間です。不動産広告の徒歩時間は80m=1分で計算されていますが、信号待ちや坂道は考慮されていません。実際に歩いてみて、雨の日や荷物が多い時でも無理なく通えるか確認しましょう。
生活利便性も重要な判断基準となります。スーパー、コンビニ、病院、銀行などの生活に必要な施設が徒歩圏内にあるか確認が必要です。子育て世帯であれば、保育園や学校までの通学路の安全性、公園や児童館などの子育て支援施設の充実度もチェックポイントとなるでしょう。
通勤・通学の利便性とライフスタイルの変化を考慮
現在の勤務先への通勤時間だけでなく、将来的な転職や異動の可能性も考慮に入れる必要があります。複数路線が利用できるエリアであれば、勤務先が変わっても対応しやすくなります。また、テレワークが増えている現在、自宅で快適に仕事ができる環境かどうかも重要な要素です。
子どもの成長に伴う通学環境の変化も見据えておきましょう。小学校は近くても、中学校や高校が遠い場合もあります。進学先の選択肢が多いエリアかどうか、塾や習い事に通いやすい立地かどうかも、長期的な視点で検討すべきポイントです。
ハザードマップと地盤の確認方法
自然災害のリスクを事前に把握することは、安全な住まい選びに欠かせません。各自治体が公開しているハザードマップで、洪水、土砂災害、地震の際の液状化リスクなどを確認しましょう。過去の災害履歴も調べ、実際にどのような被害があったか把握しておくことが重要です。
地盤の強度については、地盤調査報告書の確認が必須となります。建売住宅では地盤調査が実施されているはずなので、その結果を必ず確認しましょう。軟弱地盤の場合は地盤改良工事が行われているか、どのような工法で対策されているかも確認が必要です。
間取り・設備・仕様の確認ポイント
間取りの確認では、実際の生活動線をイメージすることが大切です。朝の身支度時の動線、家事動線、来客時の動線など、様々なシーンを想定してみましょう。収納スペースの量と配置も重要で、現在の持ち物がすべて収納できるか、将来的に物が増えても対応できるか検討が必要です。
設備面では、キッチン、浴室、トイレなどの水回りの仕様を詳しくチェックします。食洗機や浴室乾燥機など、後から追加すると高額になる設備が標準装備されているか確認しましょう。断熱性能や省エネ性能も、長期的な光熱費に影響するため重要な確認事項となります。
内覧・現地見学で必ずチェックすべき20項目
内覧は購入判断の最終段階となる重要な機会です。限られた時間で効率的にチェックするため、事前に確認項目を整理し、必要な道具を準備して臨むことが成功の秘訣となります。
建物の品質・施工をチェックする方法
建物の品質確認では、まず外観から始めます。外壁にひび割れや汚れがないか、基礎部分に亀裂が入っていないか、屋根の状態は良好かなど、目視で確認できる部分をチェックしましょう。玄関ドアや窓の開閉がスムーズか、建付けに問題がないかも重要な確認ポイントです。
室内では、壁や天井のクロスに浮きや剥がれがないか確認します。床の軋みや傾きも要チェックで、ビー玉を転がして傾斜を確認する方法も有効です。水回りでは、蛇口から水を出して水圧や排水の流れを確認し、水漏れの痕跡がないかも見ておきましょう。
基礎・外壁・屋根の確認ポイント
基礎は建物を支える最も重要な部分であるため、入念なチェックが必要です。基礎に0.3mm以上のひび割れがある場合は、構造的な問題の可能性があります。換気口が適切に設置されているか、基礎の高さが地面から40cm以上確保されているかも確認しましょう。
外壁については、サイディングの継ぎ目のコーキングの状態を確認します。劣化や剥離があると雨水が侵入する恐れがあるため要注意です。屋根は直接確認が難しいですが、軒先から見える範囲で瓦のずれや破損がないかチェックし、雨樋の取り付け状態も確認しておきましょう。
断熱性能・気密性能の見極め方
断熱性能は、窓ガラスの仕様から判断できます。ペアガラス(複層ガラス)やLow-Eガラスが使用されていれば、一定の断熱性能が期待できます。サッシの材質も重要で、アルミサッシよりも樹脂サッシの方が断熱性能に優れています。
気密性能については、窓やドアを閉めた状態で隙間風を感じないか確認しましょう。換気システムの種類も確認し、第三種換気なのか第一種換気なのかで快適性が変わってきます。可能であれば、断熱等性能等級や一次エネルギー消費量等級などの性能表示を確認することをおすすめします。
周辺環境・近隣状況の確認事項
周辺環境の確認は、異なる時間帯や曜日に複数回訪れることが理想的です。平日の朝と夕方、休日の昼間など、生活パターンに合わせて確認しましょう。交通量や騒音レベル、近隣住民の様子など、時間帯によって大きく変わる要素があります。
隣接する土地の利用状況も重要な確認事項です。現在空き地でも、将来的にマンションや商業施設が建つ可能性があります。用途地域を確認し、どのような建物が建築可能なエリアなのか把握しておきましょう。日当たりや眺望が将来的に遮られるリスクも考慮が必要です。
プロが教える内覧時の持ち物リストと質問例
内覧時には、メジャー、スマートフォン(カメラ機能)、方位磁石、筆記用具、図面のコピーを持参しましょう。メジャーは家具の配置を検討する際に必要で、主要な部屋の寸法を測っておくと後で役立ちます。スマートフォンで気になる箇所を撮影し、後でじっくり検討できるようにしておくことも大切です。
営業担当者への質問では、「この物件の売主は誰か」「なぜこの価格設定なのか」「周辺で同様の物件との違いは何か」などを聞いてみましょう。また、「過去に問題やクレームはなかったか」「近隣トラブルの有無」「町内会の活動状況」なども確認しておくと安心です。
建売住宅の契約から引き渡しまでの流れ
購入の意思が固まったら、いよいよ契約手続きに入ります。契約から引き渡しまでの各段階で必要な手続きと注意点を理解し、スムーズな取引を進めていきましょう。
購入申し込みから売買契約までのステップ
気に入った物件が見つかったら、まず購入申込書を提出します。この時点では法的拘束力はありませんが、購入の意思表示となります。申込金として10万円程度を預けることもありますが、これは手付金の一部に充当されます。
購入申し込み後、住宅ローンの事前審査を受けます。事前審査は通常3〜7日程度で結果が出ます。審査が通れば、売買契約の日程を調整し、重要事項説明を受けた後に売買契約を締結します。契約時には手付金として物件価格の5〜10%を支払うのが一般的です。
重要事項説明で注意すべきポイント
重要事項説明は、宅地建物取引士が物件の重要な事項について説明する法的に定められた手続きです。専門用語が多く使われるため、分からない点は遠慮なく質問しましょう。特に、物件の権利関係、法令上の制限、インフラの整備状況は入念に確認が必要です。
瑕疵担保責任の内容と期間、アフターサービスの範囲も重要な確認事項となります。契約不適合責任として、引き渡し後に発見された不具合への対応がどうなっているか明確にしておきましょう。また、契約解除の条件や違約金についても理解しておくことが大切です。
住宅ローン本審査と金銭消費貸借契約
売買契約後、住宅ローンの本審査を申し込みます。本審査では、事前審査よりも詳細な書類が必要となり、源泉徴収票、住民票、印鑑証明書などを準備します。審査期間は2〜3週間程度かかることが一般的で、この間に団体信用生命保険の審査も行われます。
本審査が承認されたら、金融機関と金銭消費貸借契約を締結します。この契約で、借入金額、金利、返済期間、返済方法などの詳細が確定します。契約時には実印と印鑑証明書が必要となるため、事前に準備しておきましょう。
引き渡し前の最終確認(内覧会)のチェックリスト
引き渡し前の内覧会は、物件の最終確認を行う重要な機会です。契約時の約束通りに仕上がっているか、新たな傷や汚れがないか、設備は正常に作動するかなどを確認します。この時点で見つかった不具合は、引き渡しまでに修正してもらえるため、遠慮なく指摘しましょう。
チェックリストとして、建具の開閉、水回りの動作確認、電気設備の点検、床や壁の傷の確認などを行います。可能であれば、建築に詳しい第三者に同行してもらうことも検討すべきです。指摘事項は書面に残し、修正完了の確認方法も取り決めておきます。
不具合があった場合の対処法
内覧会で不具合が見つかった場合、まず写真撮影をして記録を残します。営業担当者に指摘し、補修内容と完了予定日を書面で確認しましょう。重大な不具合の場合は、引き渡し日の延期も検討する必要があります。
引き渡し後に不具合が発見された場合も、契約不適合責任により売主に修繕を求めることができます。ただし、通知期間が定められているため、発見したらすぐに連絡することが重要です。アフターサービス基準に基づく保証内容も確認し、適切に対応してもらいましょう。
建売住宅購入後のアフターサービスと保証
住宅購入後の安心な暮らしを支えるのが、充実したアフターサービスと保証制度です。これらの内容を正しく理解し、適切に活用することで、長期にわたって快適な住環境を維持できます。
瑕疵担保責任と住宅保証の基礎知識
新築住宅では、住宅品質確保法により、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について、10年間の瑕疵担保責任が義務付けられています。これは基礎、柱、屋根、外壁などの重要部分に欠陥があった場合、売主が無償で修繕する責任を負うということです。
多くのハウスメーカーでは、法定の10年保証に加えて、独自の長期保証制度を設けています。20年、30年といった長期保証もありますが、定期的な有償メンテナンスが条件となることが多いため、内容をよく確認しておく必要があります。
定期点検・メンテナンスのスケジュール
一般的な定期点検は、引き渡し後3ヶ月、1年、2年、5年、10年のタイミングで実施されます。初期の点検では、建具の調整や設備の初期不良の確認が中心となります。5年、10年の点検では、外壁や屋根などの劣化状況を確認し、必要に応じてメンテナンスの提案を受けることになります。
定期点検を受けることは、保証を継続するための条件となっていることが多いため、必ず受けるようにしましょう。点検で指摘された箇所は、早めに対処することで大きな修繕を避けられます。点検記録は大切に保管し、将来の売却時にも活用できるようにしておくことが重要です。
リフォーム・増改築を検討するタイミング
住宅設備の寿命は概ね10〜15年とされており、給湯器やエアコンなどは10年を過ぎると故障のリスクが高まります。キッチンや浴室などの水回りは15〜20年が更新の目安となります。外壁や屋根は10〜15年ごとに塗装や補修が必要となることが一般的です。
ライフスタイルの変化に合わせたリフォームも検討すべきです。子どもの成長に合わせた間取り変更、高齢化に備えたバリアフリー化など、家族構成の変化に応じて住まいも進化させていく必要があります。早めに計画を立て、資金を準備しておくことで、適切なタイミングでリフォームを実施できるでしょう。
建売住宅購入でよくある失敗例と対策
建売住宅の購入で後悔しないためには、先人の失敗例から学ぶことが重要です。よくある失敗パターンを知り、事前に対策を講じることで、満足度の高い住宅購入を実現できます。
「安さ重視」で後悔した事例と回避方法
価格の安さだけで物件を選んでしまい、住み始めてから不満が出るケースは少なくありません。断熱性能が低く光熱費が高額になった、設備のグレードが低く早期に故障した、立地が悪く生活が不便だったなど、初期費用を抑えたことで、かえって長期的なコストが増加することがあります。
このような失敗を避けるには、トータルコストで判断することが大切です。初期費用だけでなく、光熱費、メンテナンス費用、交通費なども含めて検討しましょう。また、実際に住んでいる人の評判を聞いたり、同じメーカーの既存物件を見学したりすることで、品質を事前に確認できます。
立地・環境面での失敗を防ぐポイント
駅から近いという理由だけで選んだら、線路の騒音に悩まされたという失敗例があります。また、静かな環境を求めて郊外を選んだものの、車がないと生活できず不便だったというケースも見られます。周辺環境の確認不足は、日常生活に大きな影響を与える失敗につながります。
環境面での失敗を防ぐには、必ず複数回、異なる条件で現地を訪れることです。平日と休日、昼と夜、晴れの日と雨の日で、環境は大きく変わります。また、実際に生活している場面を具体的にイメージし、通勤、買い物、子どもの送迎などをシミュレーションしてみることも効果的です。
営業担当者との付き合い方と交渉術
営業担当者の言葉を鵜呑みにして、十分な検討をせずに契約してしまう失敗もあります。「今だけの特別価格」「他にも検討者がいる」などの営業トークに焦って判断すると、後悔する可能性が高くなります。冷静な判断力を保つことが何より重要です。
効果的な交渉を行うには、相場を把握し、複数の物件を比較検討することが基本となります。値引き交渉では、具体的な根拠を示すことが大切で、「近隣の類似物件より高い」「設備のグレードが低い」など、明確な理由を提示しましょう。また、値引きが難しい場合は、設備のグレードアップや諸費用の一部負担など、別の形での条件改善を求めることも可能です。
まとめ:理想の建売住宅を見つけるための行動計画
ここまで建売住宅購入の全体像を解説してきました。最後に、実際に行動を起こすための具体的なステップと、役立つ情報源をご紹介します。
今すぐ始められる3つのアクション
まず取り組むべきは、家族で理想の住まいについて話し合うことです。それぞれが求める条件を出し合い、優先順位を決めていきましょう。予算、エリア、間取り、設備など、譲れない条件と妥協できる条件を明確にすることで、物件選びの軸が定まります。
次に、住宅ローンの事前審査を受けてみることをおすすめします。実際の借入可能額を把握することで、現実的な予算が見えてきます。複数の金融機関で審査を受け、金利や条件を比較することも大切です。この段階で必要書類も確認しておけば、本番でスムーズに手続きを進められます。
そして、実際に物件を見学してみることが重要です。まずは住宅展示場やモデルハウスを訪れ、建売住宅の実物を体感してみましょう。営業担当者と話すことで、市場の動向や物件選びのポイントも学べます。焦る必要はありませんが、行動を起こすことで確実に理想の住まいに近づいていけるはずです。
おすすめの物件情報サイト・相談窓口一覧
物件探しには、SUUMO、HOME'S、athomeなどの大手ポータルサイトが便利です。これらのサイトでは、詳細な条件検索や新着物件のアラート機能が利用できます。また、各ハウスメーカーの公式サイトでは、そのメーカーが手がける建売住宅の最新情報を確認できます。
相談窓口としては、住宅金融支援機構の「住まいの相談窓口」や、各自治体の住宅相談窓口が無料で利用できます。中立的な立場からアドバイスを受けられるため、初めての方には特におすすめです。また、ファイナンシャルプランナーに資金計画の相談をすることも、安心な住宅購入につながります。
建売住宅の購入は人生の大きな決断ですが、正しい知識と準備があれば、必ず理想の住まいを見つけられます。本記事を参考に、一歩ずつ着実に進めていってください。皆様が素敵なマイホームと出会えることを心から願っています。
この記事を監修した人
高橋 徹夫
ONE FINITAS株式会社 代表 複数の専門資格を持ち不動産業界でキャリアを重ねる。2024年に不動産仲介・不動産コンサルティング・ファイナンシャルコンサルティングを行うONE FINITAS株式会を設立。コンサルティングを通じて様々な顧客のニーズに対応。保有資格は、宅地建物取引士・管理業務主任者・マンション管理適正評価制度 評価者・賃貸不動産経営管理士・ビル経営管理士・AFP・プライベートバンカー・相続鑑定士・認定空き家再生診断士など。
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